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車中泊 カーネル vol.12

山口県・秋吉台から角島を巡る

Part7 角島は撮影旅の原点である



<<< 2012年3月10日発売 >>>


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 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。地元のパソコン講座の講師を務める。
四輪駆動車専門誌のレポーター・カメラマンで活躍中。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・単車・電車・車を使い沖縄県を除く日本を1周。
2001年より趣味のカメラで「朝日と夕日撮影」を目的に三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り、2010年5月の北海道旅で日本2周目を終えた。現在は日本3周目(撮影旅は2周目)に挑戦中!・・・。

広大なカルスト台地、
秋吉台を走り神秘的な秋芳洞を見学。
さらにエメラルドグリーンの海に架かる橋を渡る旅。
P14の記事と一部重なるが、筆者独特の視点から見たレポートをあわせて旅の参考にしてほしい
<<<P60とP61>>>

秋吉台は地球規模の浪漫を秘めている

秋吉台は山口県東部に広がる日本最大のカルスト台地で約3億年前に海でサンゴ礁として誕生し、その後ドリーネ(鉢形の窪地)や鍾乳洞が発達して石灰岩の台地だ。
 カルスト台地は秋吉台カルストロード南北からの眺めがすばらしい。南側の「秋吉台展望台」は地表に無数の石灰岩柱が点在しているのが見渡せる。北側「長者ヶ峰展望台」は丘の上にあるので広大な草原が一望できる。雄大な地表を見ていると無数のラピエ(突出部石灰岩中)と多数のドリーネが点在し異国的な雰囲気を醸し出している。
 長者ヶ森の駐車場から徒歩で北山に登って地獄谷や冠山方向を見るとカレンフェルト(凹地)にラピエが最も多く存在する。まるで大量の羊が群れているように思える。
 散策すること1時間ほどだったが実際に草原を歩いてみて秋吉台の広さと地形が手にとるよう感じられた。自分が立っている地表がずっと遠い昔に自然が創り出したことを考えると、タイムスリップでもしているようにも思えた。


自然の不思議な造形は神秘なる美しさ

 地球の神秘を感じることができる日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞」を観るのは4回目である。
草原の地下には秋芳洞・大正洞・景清穴・中尾洞など、400を超える鍾乳洞がある。カルスト台地上の降水はすべて地下に浸透し、秋芳洞をはじめとする多くの洞窟地下水系を通じ、東台と西台の大半が厚東川(こうとうがわ)に排出する。
「秋吉洞」は石灰岩で形成された秋吉台の台上から、滲み込んだ地下水の浸食で形づくられ、洞内は数十万年をかけて作られた鍾乳石が織りなす奇観・景観が広がる。
 秋吉洞案内所で観覧料を払って入場し鍾乳洞から流れ出た川沿いを進むと入口には三段の滝がありコバルトブルーの川面が迎えてくれる。洞内の観光コースは約1kmで高さや広さもある異次元の空間で、鍾乳石・石筍・石灰華などで自然の造形が創られる。
 洞内に観光客を迎え入れ100年以上が過ぎたが、2011年春から足元や見どころを照らしていた照明設備がLED(発光ダイオード)灯に一新された。「洞内緑化」の深刻な問題を解決するため、「エコの光(小電力)」として注目を集める新世代の照明として生まれ変わったのだ。
 照らされた鍾乳洞は明るく自然色(電求色より)に近く、より鮮明に細部が観察できる。しかしカメラマン泣かせで明暗がきつく白とびになりやすいので撮影にはかなり手強くなってしまった。
 何度見ても、「百枚皿」「黄金柱」は自然の偉大さを感じる。「百枚皿」は巨大なリムストーンプールで世界に類例のないほど大規模な石灰華段丘で誰もがこの前で立ち止まる。
 さらに奥へ進むとド〜ント高い柱が目に入るのが「黄金柱」だ。何万年もかけて天井の割れ目から流れ出た地下水が石灰分を沈積さた豪華な石灰華の滝は「美しい」としか言葉がでない。
 大自然と想像もつかない時空が織りなす地球的規模を体験でき、心に大きな感動を呼び起こして、ゆっくりと流れる時間を過ごすことができた。


角島は撮影旅の原点である

 全国的にも人気観光スポットになった「角島大橋」は山口県の西に位置し下関市豊北町と日本海の響灘に浮かぶ島の角島(つのしま)を結ぶ橋で北長門海岸公園にある。
 2000年に開通した角島大橋は、離島に架かる橋のうち無料で渡れる一般道路としては日本屈指の長さで一躍有名な観光地になった。
 私が初めて角島大橋を走ったのが2001年のことで、日本各地の朝日と夕日撮影旅を開始した最初の撮影場所だ。ジムニーを旅の撮影車に選び旅の宿として車中泊を本格的に開始した時でもある。それから今日に至るまでに撮影で何度も立ち寄り朝日と夕日を狙っている。
 カメラマンとしては「角島大橋」に真っ赤な太陽が橋と海を焦がしてくれるのがベストショットなのだが、観光するなら昼間に白い砂浜とエメラルドグリーンの海の上を走ることをおすすめする。南国の海と錯覚してしまいそうな光景が広がり、映画やテレビ番組やコマーシャルのロケ地として放映されるほど美しい。
 角島には「角島灯台」と「牧崎・風の公園」にも行ってみるといい。角島の魅力と日本海に浮かぶ島を実感できる。
次の撮影旅では牧崎から角島灯台に沈む夕日を狙うことに挑戦したいと旅帳に記した。


 <<<60・61ページの写真の説明>>>

撮影2011-8
北東方向に約16km、北西方向に約6km。厚東川によって東西二つの台地(東台と西台)に分けられ、東側地域が秋吉台(特別天然記念物・国定公園)。
2011年8月「長者ヶ峰展望台」より夕日撮影を試みる。

撮影2012-1
秋吉洞(あきよしどう)
洞入口の高さ24m、横巾8m。洞内の最も広い所が200m、天井の最も高い所は80m。洞内の観光コースは約1km(総延長8.8km)、温度は四季を通じて17℃で一定。

撮影2012-1
ドリーネとラピエ
地表にはドリーネ(擂鉢穴)と呼ぶすり鉢型の窪地(雨水が石灰岩の割れ目に沿って地下に浸透して石灰岩を溶かす)が多数見れる。土壌水の溶食から溶け残った石灰岩の突出部石灰岩柱(ラピエ)が無数に土壌中から顔を出す。

撮影2012-1
百枚皿(リムストーンプール)
小高い丘(籠岩)から流れ落ちる地下水の中に含まれる炭酸カルシウムが結晶化し皿状に沈積して縁を作り水が貯まったもの。皿の数は500枚を超え、直径4mの広さのプールもある。

撮影2012-1
秋吉台カルストロードを南側から北へ草原の中を気持ちよく走ることができる。

撮影2012-1
黄金柱(こがねばしら)
高さ15m、幅4mの巨大な石灰華柱。照明に浮かび上がる姿は秋吉洞の第一の美観と言っても過言ではない。

撮影2011-8
角島大橋の夕日

撮影2011-8
角島大橋
2000年11月に通行料金無料の離島架橋として日本最長(全長1,780m)の橋として完成した。しかし2005年に沖縄県の古宇利大橋(全長1,960m)に日本1の座を譲った。

撮影2009-3
角島大橋の夜景
昼間の海の上を走るのも気持ちいいが夜は1本の道を暗闇に走る感じは宙に浮いている感じ。またライティングが綺麗だ。

撮影2001-8
角島灯台は明治9年に初点灯後、130年以上経った現在でも、現役で毎日点灯している総御影石造りの洋式灯台。撮影を開始した最初の場所。


※記事内容(撮影時期)
2001年8月に朝日と夕日撮影。
2008年3月に佐賀県からの帰りに朝日撮影。
2009年3月に山陰を走る時に夜景撮影。
2011年8月に北九州(長崎〜国東半島)を1900kmの旅で行き(夕日)と帰り(朝日)に撮影で立ち寄る。
2012年1月の朝日撮影。



(((旅の補足))) 本には掲載されてません
今年の1月のこと、ふたたび連休を利用して“秋吉台”“秋芳洞”へ行った。どうしても朝日絡みの写真が撮りたくしたくて夕方に出発。もちろん車はジムニーでスタットレスに履き替え四輪駆動車でタイヤチェーンも装備した。冬の夜の車中泊は慣れていないので、暖には少し気をつかった。寒くなると車のエンジンも少しはかけるだろうから、駐車場の確保(誰もいないところ)には気をつかって探した。今回の秘策は、電気式敷き毛布(消費電力60W・¥2000円ほど)でジムニーに装備しているDC−ACコンバータを使い車の中で食事をしている間30分ほど電源をON。すると思わぬベッドが温まった。寝る服こそ厚着をしたものの普通の掛け毛布1枚で爆睡でき3時間後に少し寒くなり少しの間エンジンをかけた状態でOkだった。前車のジムニーにはサブバテリーを積んでメインバッテリーと分離させる回路を作っていたので消費電力が60Wくらいなら20〜30分程度はエンジンをかけなくてよかったのだが、現在の車(エンジンルーム)にはどうして2個のバッテリーが入らなかった。なにかと予備バッテリーは必需品なのだが・・・なんとかしなければと思っている。カメラマンの朝は早く起床は4時30分で暗いうちから撮影に入った。

(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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