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車中泊 カーネル vol.17

伊豆半島を巡る

Part12 島根半島は奇岩が点在する予想外の面白さ


<<< 2013年6月10日発売 >>>




 カーネルSTAFF writer ・ photographer  岡村博文 Okamura Hirofumi

●筆者紹介●岡村博文 おかむらひろふみ
1957年生まれ。広島県在住。地元のパソコン講座の講師を務める。
四輪駆動車専門誌のレポーター・カメラマンで活躍中。
高校時代からひとり旅が好きで、徒歩・自転車・単車・電車・車を使い沖縄県を除く日本を1周。
2001年より趣味のカメラで「朝日と夕日撮影」を目的に三十数回に分けて総走行距離約6万キロを走り、2010年5月の北海道旅で日本2周目を終えた。現在は日本3周目(撮影旅は2周目)に挑戦中!・・・。

島根半島の日本海側を走ってきた。
観光地としてはあまり知られていながいが、
リアス式海岸に大きな奇石や島々が点在する隠れた景勝地だった。
<<<P54とP55>>>

朝日は中海、夕日は宍道湖と決めて出発した

山陰中央部を代表する景勝地が大山隠岐国立公園で、鳥取県・岡山県・島根県に分布して、大山蒜山地域・ 隠岐地域・ 島根半島地域・ 三瓶山地域の4箇所に分かれ個性が異なる。今回は島根県の北東に位置し日本海に面する島根半島を走ってきた。
もちろん、朝日と夕日を追いかける旅なので、朝日は“中海”で夕日は“宍道湖”と決めていた。以前から何度も挑んでいたが、天候に恵まれず綺麗な太陽に出逢うことはできていなかった。今回の旅で島根県の中海の西岸から大山を遠景に弓ヶ浜に昇る朝日を撮影することができた。すぐ近くで仕掛け網をあげる漁師さんがいたが網の中に“中海七珍(ななうみしっちん)”と呼ばれる魚介類を望遠レンズでは確認できなかった。
松江市側から中海にある大根島〜八束町を結ぶ中海堤防道路は真っすぐな道で、海面すれすれに走れる。さらに美保湾に面する米子市から境港市の弓ヶ浜(長さ13km)も行って見た。ルート沿いから何カ所か浜に出られるので立ち寄って長い砂浜を見た。また境港から東の地蔵崎を目指す海岸線を駆けるととても気持ちがいい。


半島北側の海岸線は奇石と島々が点在する隠れ景勝地

半島の東側の美保関から北の海岸線を西側の出雲市日御碕に至る約65kmは200〜500mの丘陵地だ。地形はリアス式海岸で小さな湾がいくつもあり魚港が点在する。港から港を結ぶ道沿いにはスケールの大きな奇岩や透明な海、島々の重なる景色が次々と現れる。どこかの観光地ならすぐに大きな看板が立ちそうな景観がいたる所に存在する。これだけの奇岩なら絶対に名前が付いているだろうとクルマを降りて探すが看板は無い。特に西側の小伊津〜十六島(うっぷるい)の海岸線はタダものではない。私は地質学者ではないがクルマを降りて確認をしたくなった。岩が海から突き出て山をかけあがるように荒れた地球の肌を見ているようだ。崖の切り立つ高さに圧巻された。
このルートが何故、観光地として世にあまり知れていないのか不思議でならなかった。地図を見ても景勝地とは記されていない。大きなキャンピングカーでは、ハンドルの切り返しが数カ所必要だが、普通車なら大丈夫。
ゆっくりと海岸線〜山裾〜漁港と走れることができる。自然を満喫でき驚きの連続で飽きることがない。バイクなら海の風を受け、山の木々の香りを浴び、透明度の高い海を見ながらのツーリングも爽快だろう。ただ漁港はあってもガソリンスタンドとコンビニが無い(私の走ったルートでは)ので要注意だ。私自身、朝に美保関の地蔵崎の駐車場で朝食(パン)を取ってから、昼過ぎまで食事にありつけなかった。

宍道湖〜中海〜弓ヶ浜が観光地で有名であるが、半島の北側(海岸線)は自然を満喫でき驚きの連続で飽きなかった。



ちょっと怖い話   第2弾

旅中のちょっと怖い話として本誌13でお話したのは、「旅先での暴走族に遭遇」の体験談だった。
今回は、夏を前に、怖い話「第2弾・霊気を感じる?」を紹介しよう。
私自身は、俗に言う“お化け”とか“異星人”は見たことも無く信じていないほうである。

私の場合は、撮影のために半島の突先・湖畔、山の上、河川と人気の無い所が行くことが多い。ましてや、初めての場所で独りぼっちと、このうえなく寂しい限りである。
夕日撮影をして夜中に次の朝日撮影のポイントまで走り、辿りつくのは午前0時〜1時頃となる。車中泊をする周辺は暗闇で周囲の状況が確認できず、「もうここでいいや〜あ」と疲れて寝てしまう。こんな、霊気を感じることがある。

それは“霊気・邪気”なのか? ただの“体調不良”かも!

そこは道を隔てると海岸線で打ち寄せる波の音が聞こえる。クルマの横には小川があり、水の流れる音を聞きながら・・・ウトウトしていると、小川の流れが止まる感じがした。また、クルマの後ろに人気を感じた。何度も気配を感じるが疲れているので睡魔が勝った。朝起きたら墓所の駐車場だった。

東北のある湖畔で夕日撮影していたら肩から背筋に冷気を感じた。左の肩がやけに重い。風が吹いていたので冷えたかとも思ったが、少し違う霊気なのだ。肩に痛くない違和感を感じる。こんな時は振り向かず「私は旅人で、私に付いて来てもいいことは無いよ・・・」と声を出して、自分で肩を2〜3度叩く。決して後ろを振り向かないことにしている。

九州では、全国の神が集まるという場所に行った帰り道、川沿いにある遊歩道に小さい赤い橋がかかっていた。小さい子どもが橋の上でニコニコしながら私とすれ違った。フット後ろを振り返ったが、子どもがいない。「あれ、今の子は男の子だったよな」と想い起こすが定かではない?

山陰のある場所では、海岸線の少し小高い丘の上から夕日撮影をしようと車を未舗装の広場に停めて、昼寝をかねて少し寝た。吹く風は春の風で心地良い眠りだった。やけに過去に戻る自分の夢を見た。また遠くに行き別世界から自分を見つめていた。目が覚めて見渡すと何基も古墳があった。「あ〜、お墓の上で寝ていたのか」思い、暗くなる前に退散した。

東北では、大きな湖で夕日撮影を終えて近くのトイレに入った。しかし一番奥の左側に何か感ずるものがあった。「こちらにおいでと」呼ばれているような気がする。行ってみたいが・・・やめた。なぜだか、このトイレは綺麗でやけに照明が明るい。なのに前を通るクルマは停まらない。誰かいるのかと何度もトイレのドアを見るが・・・気持ち悪い。こいう時は立ち去ることにしている。

四国では、車中泊をした海岸の駐車場で、誰もいないはずなのに、ある一点の場所に人気を感じる。あまりにも嫌だったのでクルマを動かして少しでも離れた場所で寝た。家に帰ってネットで地名を調べたら、目先の海で海難事故で人がなくなっていった。知らないとは言え・・・あ〜怖い。

こういう怖い目に遭わない一番の対策は、明るいうちに車中泊の場所を決めること。
何台かのクルマが車中泊しているよおうな所を選ぼう。

でも、一番怖いのは、寝ている時に、外から窓を“コツコツ”叩かれること!!


--- メモ --- 記事に掲載されてません。
若い頃に一人旅をしている時はまったく感じもしなかったのにひと歳とると、雑念が入り見えないものを感じるようになったようだ。数年前から何やら“気配”を感じるようになった。特に半島の突先などは暗くなると雰囲気も一変する。ただ、自分が怖いと思っているから、何もかもそう“感じる”のかも知れない。
最近では、知人のお坊さんにお願いして“腕輪(念珠)”に“気・念”を拝んで入れてもらったパワーストーン(魔除けの護符とされている)を嵌めている。
交通安全でも、商売繁盛でも、身体健康でもない、ただ、「見えない何か? 霊が近寄らない」だけを信じている。


 <<<54・55ページの写真の説明>>>

キャプション 01
弓ヶ浜から昇る朝日と中国地方の最高峰 大山(標高1729m)が見える
中海(なかうみ)は、島根県松江市・安来市と鳥取県境港市・米子市にまたがる湖。湖沼水質保全特別措置法指定湖沼。「ちゅうかい」とも称される。面積では日本で5番目の大きさ。

キャプション 02
湖は海と水路が繋がっているため、海水の約半分の塩分濃度を持った汽水湖で、海水魚、淡水魚とも同じ場所に生息しているが、何が獲れていたのかは見えなかった。

キャプション 03
中海堤防道路は湖の中を走る。水面に近い所を走り高い山もないので解放感抜群だ。

キャプション 04
中海の弓ヶ浜から昇る朝日。静かな中海の湖面と空を赤く焦がしながらゆっくりと朝日が昇った。

キャプション 05
県道37号線の島根町“大芦”にある“洗たく岩”で道なりに走っていると見落とすかも。少し高い所を走っているので海側に注意する。でも唯一小さな看板があった。

キャプション 06
宍道湖の嫁ケ島に沈む夕日。宍道湖(しんじこ)は、島根県松江市、出雲市にまたがる湖。面積は日本国内で7番目、島根県内では鳥取県境に位置する中海に次ぎ、2番目に大きな湖で汽水湖。形状は東西に長い長方形。東西約17km、南北約6km、周囲長47km。湖内に位置する島は、嫁ヶ島(周囲240m)だけである。
必ずと言って観光ガイドやパンフレットではて宍道湖と夕焼けの空が真っ赤に焼けているものを見るが、私は今回で何度目が解らないがその光景を見たことがない。なぜだか、1〜2回で撮れる時と、何度通っても取れない事があるが、宍道湖は後者でまったくと言って私に美しい夕日を見せてくれないのはなぜだろうか?

キャプション07
出雲市小伊津町の海岸で崖に縦縞模様が明瞭に露出した圧巻の景色。地層は1500万年ほど前に海底ででき地殻変動で地表に露出したもの。地層は砂岩層と泥岩層が交互に重なって海から陸に向かって急角度で立ち昇っている。

キャプション 08
上の写真の波打ち際の岩。宮崎県の“鬼の洗濯板”に似るが、もっとゴツゴツして斜めに突き出た岩の高さは1mを超す。綺麗に並んだ岩は真っすぐに並んでいた。岩に近づいて見ると大きさに驚く。

キャプション 09
垂直に近い傾斜の地形を“崖”という。海の波に寄って浸食された海岸線は崖と海の間に道が付いているようだった。道が細いだけに崖の斜面がキツクより一層高く感じる。

キャプション 10
漁村から次の漁村に行く間に山を超えるとこんな感じ。自分の走るだろうとする道がズット先まで見通される道が続く。小さな島も点在して色んな景色が味わえる。

キャプション 11
“怖い話”に出てきた「朝起きて見たら墓所の駐車場だった」所。実を言うと、この日の夜に車中泊する場所こそ、“気持ち悪い”と感じた所(昔の出雲国と石見国の境で暗闇の広場)であって、退散して移動したのがここだった。


(<<<カーネルは年4回の季刊で刊行>>>
現在は3、6、9、12月の季刊で発売されています。

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